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東京、どこに住む? — 23区完全ガイド [Ep.07] 北部4区:北・荒川・板橋・練馬

東京、どこに住む? — 23区完全ガイド [Ep.07] 北部4区:北・荒川・板橋・練馬

※ 本記事は情報提供を目的とした個人的な分析であり、特定の不動産・投資商品の売買を推奨するものではありません。投資・税務・法務・入国管理等の判断は、公的資料の確認と有資格の専門家への相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。数値・制度・相場・運営情報は掲載時点のものです。確認なく意思決定に用いないでください。執筆後も市場・制度は変更される場合があります。

「北は安い」と聞いたとき、どんなイメージが浮かびますか? 交通が不便、古い街、投資価値が低い。だいたいこの3つのどれかだと思います。私もかつてそう思っていました。

ところが、西日暮里駅から東京駅まで実際に乗ってみると、13分でした。乗り換えなし。その13分が、荒川区を見直すきっかけになりました。1

データ基準時点:マンション成約価格(せいやくかかく)は国土交通省不動産情報ライブラリ2025年1〜4四半期基準。賃料相場はSUUMO新築+駅徒歩5分以内基準であり、随時変動します。最新の数値は出典リンクから直接ご確認ください。


目次

  1. 北区 — 赤羽が持つ直通という切り札
  2. 荒川区 — 13分、最も過小評価された交通ポジション
  3. 板橋区 — 23区内で価格メリット最上位クラス
  4. 練馬区 — 静かな住宅街、新宿圏の暮らし
  5. 4区比較まとめ
  6. 投資・居住ガイド

1. 北区

北区は23区の中でも、その名前そのものが方位を指す区です。「北にある区」という名称が、かえってポジショニングを妨げている面があります。東京の不動産話で北区が最初に取り上げられることはほとんどありません。

しかし地図を開くと話は変わります。北区といえば多くの人がまず思い浮かべるのは赤羽ですが、実際の行政・生活の中心は王子周辺です。交通ハブとして見ると、赤羽駅の存在感が際立ちます。JR 京浜東北線・宇都宮線・高崎線・埼京線など複数の路線が交差する主要乗換駅であり、赤羽駅から東京駅まで京浜東北線で17分直通です。1

千代田区を中心に置くと、北区は直線距離で約7〜8km北に位置します。それでも70㎡マンションの成約価格は千代田区の**46.0%**水準です。

数値の検証:北区6,272万円 ÷ 千代田区1億3,630万円 × 100 = 46.0%

マンション平均成約価格

1

エリア㎡単価(成約価格平均)70㎡換算件数
王子(町名)100.0万円約7,000万円32件
滝野川(町名)93.7万円約6,559万円93件
志茂(町名)88.0万円約6,160万円44件
赤羽北(町名)74.2万円約5,194万円33件
豊島(町名)73.9万円約5,173万円35件
東十条(町名)71.8万円約5,026万円37件
浮間(町名)68.5万円約4,795万円39件
北区全体平均89.6万円6,272万円585件

王子・滝野川エリアはすでに100万円/㎡前後に達しています。赤羽北・豊島エリアは5,000万円前半台で、価格に対する都心へのアクセス性が際立ちます。

北区マンション成約価格の㎡単価は、2021年の69.0万円から2025年の89.6万円へ、4年間のCAGR(年平均成長率)で**6.7%**上昇しました。

※ このシリーズのCAGRはすべて2021〜2025年の成約価格データを基に算出しています。1

賃料相場

2

間取り家賃相場(新築+駅5分)
1R(ワンルーム)8.5万円
1K8.6万円

リスク

北区には荒川と隅田川が流れる低地が含まれます。区内の一部低地エリアでは、洪水・液状化のリスクが存在します。物件選びの際は、対象物件のハザードマップを事前に確認することをお勧めします。


2. 荒川区

荒川区は東京23区の中でも最も面積が小さい区の一つです。区名自体が「荒川」に由来しており、川に隣接したエリアが実際に存在します。「水の多い街」という印象が強い区です。

ところが交通データを見ると、その印象が一変します。

荒川区を代表する駅は西日暮里駅です。JR山手線と東京メトロ千代田線が交差する駅で、東京駅まで13分直通です。1 このエピソードで取り上げる4区の中で最も短い時間です。

千代田区比の成約価格は**44.2%**です。

数値の検証:荒川区6,027万円 ÷ 千代田区1億3,630万円 × 100 = 44.2%

個人的には、荒川区はまだ市場で十分に注目されていないと感じています。東京駅まで13分という交通条件を踏まえると、現在の価格水準は非常に興味深いと言えます。この数字を見てから、荒川区を素通りするのが難しくなりました。

マンション平均成約価格

1

エリア㎡単価(成約価格平均)70㎡換算件数
西日暮里(町名)107.0万円約7,490万円82件
東日暮里(町名)98.4万円約6,888万円110件
南千住(町名)82.9万円約5,803万円107件
荒川(町名)76.9万円約5,383万円76件
町屋(町名)75.8万円約5,306万円47件
東尾久(町名)69.5万円約4,865万円46件
西尾久(町名)67.6万円約4,732万円42件
荒川区全体平均86.1万円6,027万円510件

西日暮里・東日暮里エリアはすでに100万円/㎡に迫っています。南千住は庶民的な雰囲気を残しながらも、流動性が豊富なエリアです。

荒川区成約価格のCAGRは4年基準で5.9%、2020→2040年の人口変化率予測は**+5.4%**と4区中最も高い数値です。価格上昇を支える需要基盤が比較的しっかりしている区といえます。4

賃料相場

2

間取り家賃相場(新築+駅5分)
1R(ワンルーム)8.6万円
1K8.7万円

リスク

区名の由来となった荒川は、実際に荒川区の東側境界に沿って流れています。川沿いの低地エリアでは洪水・液状化リスクが高くなります。西日暮里・東日暮里エリアは川から比較的距離がありますが、南千住方面の物件はハザードマップの確認が必須です。


3. 板橋区

板橋区は東京北西部に位置する区です。様々な工業地域と住宅街が混在しており、観光地としての知名度は高くありません。しかし、このエピソードの4区の中で取引量が最も多い区です。

2025年の成約件数1,030件は、豊富な取引データが蓄積されているということを意味します。取引が活発な分、相場がデータによって裏付けられた市場です。

東京駅までは板橋駅から乗り換えを含めて23分です。1 千代田区比の成約価格は**36.2%**で、4区中最も低い価格帯です。

数値の検証:板橋区4,935万円 ÷ 千代田区1億3,630万円 × 100 = 36.2%

マンション平均成約価格

1

エリア㎡単価(成約価格平均)70㎡換算件数
板橋(町名)88.3万円約6,181万円58件
小茂根(町名)81.5万円約5,705万円40件
成増(町名)77.4万円約5,418万円69件
小豆沢(町名)74.3万円約5,201万円54件
坂下(町名)63.3万円約4,431万円46件
前野町(町名)65.9万円約4,613万円51件
徳丸(町名)59.5万円約4,165万円46件
高島平(町名)44.4万円約3,108万円67件
板橋区全体平均70.5万円4,935万円1,030件

高島平(町名)の44.4万円/㎡(n=67件基準)は区平均を大きく下回ります。このエリアには築年数の古い団地(公共集合住宅)の物件が多数含まれているため、単純な比較には注意が必要です。一方、板橋(町名)エリアは88.3万円/㎡と北区全体平均に近い水準です。

板橋区成約価格のCAGRは4年基準で**5.2%**です。1

賃料相場

3

間取り家賃相場(新築+駅5分)
1R(ワンルーム)8.5万円
1K8.6万円

4. 練馬区

練馬区は23区の中でも指折りの人口規模を誇る区です。低層住居専用地域(高層建物の建設が制限された住宅地)が全体面積の23.3%を占めています。この数字が練馬区の性格を端的に物語っています。静かな住宅街です。

練馬区は東京23区の中でも「都心型住宅地」としての性格が強い区です。高層ビルよりも一戸建てや低層マンションが多く、公園や緑地の比率も高い傾向にあります。新宿・池袋へのアクセスを確保しながら、比較的ゆとりある生活環境を求める世帯が継続的に選んでいる地域です。

私は練馬区の平和台駅近くで勤務した経験があります。東京メトロ有楽町線・副都心線が通る駅で、新宿・池袋方面へのアクセスが便利でした。緑が多く静かで、生活環境としては十分に魅力的な街でした。

小竹向原駅は有楽町線と副都心線が交差する練馬区の交通ハブです。ここから東京駅までは乗り換えを含めて28分です。4区の中で最も長い時間ですが、新宿駅までは20分以内でアクセスできます。1

千代田区比の成約価格は**37.6%**です。

数値の検証:練馬区5,124万円 ÷ 千代田区1億3,630万円 × 100 = 37.6%

マンション平均成約価格

1

エリア㎡単価(成約価格平均)70㎡換算件数
石神井町(町名)101.5万円約7,105万円37件
中村北(町名)78.5万円約5,495万円54件
豊玉北(町名)74.9万円約5,243万円56件
関町南(町名)70.9万円約4,963万円46件
高野台(町名)72.2万円約5,054万円39件
光が丘(町名)69.2万円約4,844万円43件
貫井(町名)65.6万円約4,592万円45件
関町北(町名)63.5万円約4,445万円47件
練馬区全体平均73.2万円5,124万円895件

石神井町(町名)は101.5万円/㎡(n=37件基準)と区平均を大きく上回ります。居住環境の良い高級住宅地として知られるエリアです。練馬区の地区計画(区域ごとの建蔽率・用途を細かく管理する都市計画ツール)の件数は34件と、4区の中で最も多くなっています。街並みが長年にわたって維持されている理由がここにあります。

練馬区成約価格のCAGRは4年基準で**4.5%**と、4区の中で最も低い数値です。1

賃料相場

3

間取り家賃相場(新築+駅5分)
1R(ワンルーム)8.7万円
1K8.8万円

5. 4区比較まとめ

1234

項目北区荒川区板橋区練馬区
東京駅まで(代表駅)17分 赤羽(直通)13分 西日暮里(直通)23分 板橋(乗換)28分 小竹向原(乗換)
千代田区比46.0%44.2%36.2%37.6%
マンション70㎡成約価格6,272万円6,027万円4,935万円5,124万円
賃料1R(新築+駅5分)8.5万円8.6万円8.5万円8.7万円
成約CAGR(4年)6.7%5.9%5.2%4.5%
人口Δ 2040予測+1.8%+5.4%+3.9%+1.6%
取引件数(2025年)585件510件1,030件895件

シリーズ内比較:

東京駅まで70㎡成約価格
千代田区(基準、Ep.01)1億3,630万円
台東区(Ep.06)約8分 上野直通7,762万円
北区(Ep.07)17分 赤羽直通6,272万円
荒川区(Ep.07)13分 西日暮里直通6,027万円
練馬区(Ep.07)28分 小竹向原乗換5,124万円
板橋区(Ep.07)23分 板橋乗換4,935万円

※ 東京駅所要時間は著者が実際に確認した数値です。

2026年第1四半期の首都圏中古マンション市場は、成約価格の底堅さが維持されています。5


6. 投資・居住ガイド

居住の視点

北区は赤羽駅の路線多様性が強みです。JR複数路線が交差しており、埼玉方面への通勤者にも有利です。王子・滝野川エリアはすでに100万円/㎡に近づいていますが、赤羽北・浮間方面はまだ手の届きやすい価格帯です。

荒川区は4区の中で東京駅へのアクセスが最も優れています。西日暮里・東日暮里エリアは山手線への乗り換えも便利です。ただし、荒川沿いの物件は洪水リスクを必ず確認する必要があります。南千住方面は取引件数が十分にあり、相場の把握がしやすいエリアです。

板橋区は東京23区内で価格メリットが際立つ区です。取引件数1,030件と流動性が高く、板橋(町名)エリアは6,000万円台と北区に近い価格帯を形成しています。新宿方面へのアクセス(池袋経由)は比較的便利です。

練馬区は低層の居住環境を求める方に適しています。石神井町周辺は緑と公園が豊富な高級住宅地の雰囲気があります。有楽町線・副都心線で池袋・新宿まで乗り換えなしでつながっており、都心へのアクセスは思いのほか良好です。

投資の視点

この4区を投資の観点から見るとき、2つのグループに分けて考えるのが有効です。

北区・荒川区は、東京駅への直通アクセス性が現在の価格に十分反映されていない区です。成約価格のCAGRも4年基準で5.9〜6.7%と堅調です。特に荒川区は人口増加率+5.4%と需要基盤もしっかりしており、再評価の余地がある区として私は個人的に注目しています。

板橋区・練馬区は価格メリットが明確です。千代田区の36〜38%水準という点は、賃料利回り(Yield)の観点から有利なスタートポイントとなります。ただし、東京駅への直通がないという交通条件は投資判断の際の考慮事項です。実需目的や賃料収入を主目的とするなら、両区とも合理的な選択肢になり得ます。

リスク面では、4区いずれも洪水・液状化リスクがサンプル調査で確認されています。低地・川沿いの物件を検討する際は、東京都のハザードマップを必ず確認してください。建物の耐震等級と築年数も確認事項に含めることをお勧めします。


次回予告

次回は足立区・葛飾区・江戸川区を取り上げます。東京北東部の外縁エリアは本当に過小評価されているのでしょうか? それとも安い理由が明確にある地域なのでしょうか?


このシリーズ全体を見る

出典・参考資料

  1. 1.国土交通省 不動産情報ライブラリ 成約価格情報(2025年1〜4四半期)公式
  2. 2.SUUMO 北区・荒川区 賃料相場(新築+駅徒歩5分以内基準)公式
  3. 3.SUUMO 板橋区・練馬区 賃料相場(新築+駅徒歩5分以内基準)公式
  4. 4.東京都統計部 人口推計(住民基本台帳)2020→2040変化率公式
  5. 5.REINS 首都圏マーケットウォッチ 2026-04公式

本文の緑色の数字脚注から下の項目へジャンプできます。URLは執筆時点で確認済み。「アーカイブ」は見出し統計のスナップショットです。


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著者について

GSF author

Joseph. KIMはGSFArkの創設者兼編集者です。 東京・日本橋を拠点に、日本不動産と長期投資について調査・執筆しています。

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